■ コラム (2001.07)
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◇ 第三セクター
『破綻相次ぐ第三セクター』
さて、第三セクターとは何んぞ?
政府もしくは地方公共団体が民間事業者と共に出資して運営する事業形態のこと
破綻相次ぐ第三セクターのほとんどは1986年「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」(民活法)の制定を期に生まれた事業体です。
第三があるのだから第一第二もあるのか?
第一セクターは、完全公的資金による事業形態(政府、地方公共団体)
第二セクターは、完全民間資金による事業形態(民間)
では、民活法とは何か?
経済的環境の変化に対処して、経済社会の基盤の充実に資する特定施設の整備を民間事業者の能力を活用して促進するための措置を講ずることにより、国民経済及び地域社会の健全な発展を図り、あわせて国際経済交流等の促進に寄与することを目的としています。
促進するための措置を講ずることとは何か?
債務保証をします
政府及び地方公共団体は、認定を受けた特定産業基盤施設の整備を行う際に必要となる資金を調達するために発行する社債及び資金の借入れについて債務保証を行います
減税措置等をします
固定資産税(5年)、不動産取得税、等々1/2にします
特定産業基盤施設とは何か?
- 工業技術の研究開発や企業化を図るために設置される一群の施設
- 外国との経済交流等の促進を図るための施設
- 再生資源の利用の促進を図るための施設
- スポーツ産業の発展を図るための施設
どんな施設が第三セクターによって運営されてますか?
- 宮崎シーガイア フェニックスリゾート(破綻)
- 和泉コスモポリス 大阪泉佐野コスモポリタン(破綻)
- 関西国際空港
- りんくうタウン
- 和泉コスモポリス
- 和歌山マリーナシティ
- 京都駅南口再開発
- 京阪奈学園都市
その他多数あります
私が思うに
行政は地域に対し参画している事業内容を積極的に公開すべきです。
「資料は請求して頂ければ閲覧できますよ」という消極的な情報公開ではなく、テレビコマーシャルをうつぐらいの積極的な情報公開が必要です。
何に対して税金を使われているのか政治家や行政は何をしようとしているのかを積極的に公開し、その事業の功罪を市民と共に論議できるようにならなければ、第三セクターの破綻責任の追及に追いまわされるのがオチです。
ミクロな検証は情報公開により地域住民に判断を任せれば良いし、マクロな検証こそ行政が行えば良い。これが逆になってるでしょ
(ココでいう住民の判断というのは、選挙に行くとか公聴会に行くとか自治活動に参加するとか言う意味です)
そもそも、行政が民間営利企業に出資をするのはアリなんですか?
大体、民活法の特定産業基盤施設っていうのが曲者で、文化施設だとか芸術振興施設など住民の合意を獲易い箱物は地方交付税で建てて、経済界からの要請で第三セクターを運営するみたいな、どうも政治的匂いがするのですが。
2001.07.27
◇ 情報ソース
まずは新聞、毎日新聞と日経新聞を購読している。毎日新聞経済面、三連星の「経済観測」は面白い。
最初に彼のコラムを読んで、「何と嫌な奴だエラソウに」と思ったのだが、そのうちに「エラソウ」が楽しみに変った。
「ごもっとも、そのとおり!」と辛口のコラムに頷きながら読んでいる。
テレビでは、TV東京の「ワールドビジネスサテライト」、他の民報ニュース番組はワイドショーっぽくって全然ダメ、久米も森本もサッパリだ。
「ワールドビジネスサテライト」の良いところは、メインキャスタの小谷真生子もさることながら経済専門コメンテータのキャスティングが優れている点と、目先が新鮮な点だ。
現経済財政担当相の竹中平蔵氏もかつてコメンテータだった頃、私は彼の辛口のコメントが好きで「ごもっとも、そのとおり!」と頷きながら見ていた。
インターネットでは、NikkeiNET、他のニュースサイトも閲覧はするが、取り上げているネタが何かを見るくらいで、内容までは目を通さない。
CNN.co.jpは独自のニュースが少ないことと翻訳の拙さとでニュースサイトとしてはサッパリなのだけれど、海外での話題が何なのかのインデックス程度にはなる。
趣味ネタだけれど、Domain Name News、 セキュリティホールmemo、などは大切な情報ソースだ。
ついぞ最近までしらなかったのだが「2ちゃんねる」2ch.netというコミュニティサイトがある。
内容はともあれ、JARランクによるとJAR値(*1)で sony.co.jpの5倍、goo.ne.jpにほぼ並ぶ集客力がある。
個人で運営しているサイトとしては世界的にも優れた集客力なのではないか。
「2ちゃんねる」の優れている点は様々あろうが、私が感心したのはココ。
これは、Yahoo!や他のポータルサイトもそうだが、カテゴリーを細分化したディレクトリサービスを積極的に推進している所以だ。
ともかく人の集まるところには大きなマーケットが発生する。広告収益以外にも大きなビジネスチャンスがあるのではないか。
*1 JAR値:平均滞在時間や最訪問割合など複合要素による計測値 (詳しくはJARを見てね)
話を戻して、やっぱりビールと一緒で辛口でしょ! これからは。
↑何の話だっけという方は最初からもう一度読み返してね
2001.07.25
◇ 建築士のステータス
業界内で「国内では建築士のステータスが低い」という話題をよく耳にします。
建築士を、弁護士や医者と比べたってしょうがないのですけどね。そもそも世間一般の認知度が違うんですから。
建築士の世話にならなくても、この世の中、何不自由なく生きてゆけます。
上記は大部分正しいのですが一部誤りがあります。
まわりに建っているビルもマンションも一戸建て住宅も、実は建築士が実際に図面を書いているし、各種申請も行っているし、管理もしています。
まあ、縁の下の力持ちと表現すれば救われますネェ
「建築士の世話にならなくても・・・」とは実は深い意味があって、実際にマンションや建売り住宅を購入される方は建築士と折衝することはまずありません。
ハウジングメーカーに住宅の建築を依頼される方も建築士との直接折衝ではなく営業との折衝になります。
要は、世話にならないから何をしている職業なのか知ったこっちゃないわけです。
建築士のステータスが低いもう一つ大きな要因は設計費に妥当な基準がないことです。
(集団による価格協定は独占禁止法違反になります)
(建設省告示第1204号という形骸化されたものはあるのですけどね)
ハウジングメーカーに依頼すると、最初に提案するプランが無料だったりします。
建売り住宅や、建築条件付住宅にしても、設計費が見えてきません。
ところが設計事務所に依頼すると、工事費の何パーセントを一律に計上したり、1プランあたり一律何万円であったり。
料率も随分と差があり複数の事務所に見積りを依頼すると倍ぐらい違うことだってあるでしょう。
「意匠性があるからプランを安売りしません」とおっしゃる御人もたまにいらっしいますが、そんなの設計費が高い根拠にはならないですよね。建築士なんだから意匠性も技術も兼ね備えて当たり前、意匠性を聖域化しちゃダメです。
設計者は消費者に対し設計図書(契約書)を作成するには、「これだけの枚数をこれだけの人数で設計しますので幾らになります」という解りやすい見積りを提示することが必要でしょう。
それに、これなら消費者側も値切りやすい「あんたとこの人件費は高い、事務所経費は高い」と。
逆に設計事務所側からすると、不当に値切る消費者を撃墜しやすい。(笑)
ところが、意匠性一律幾らの御人相手に「あんたの意匠は高い」とは言いづらい。「私の意匠には○×○×○の価値がある」と長時間説教されそうで....
真に芸術的な意匠事務所もあるでしょうから、そこと私の事務所を一緒に考えてはダメですけどネ。
妥当な設計費の基準が無いから、会員制スナックと同じで一見では入りにくい。ボッタクリされそうで怖い。等々、(会員制スナックがボッタクリであるという意味ではありません)
契約図書を作成するのにかかる費用を想定し綿密な見積りも出せない事務所は、近い将来淘汰されます。
まあ、結局のところ建築士のステータスが低いのは我々業界ひとり一人の努力が足りないのですよ。
2001.07.16
◇ オープンソース (open source)
open source
ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを、インターネットなどを通じて無償で公開し、誰でもそのソフトウェアの改良、再配布が行なえるようにすること。ソースコードがあれば、そのソフトウェアの類似品を作成したり、そのソフトウェアで利用されている技術を転用することが容易に可能なため、企業などでは自社の開発したソフトウェアのソースコードは極秘になっており、他社に供与するときには高額のライセンス料を取っている。それに対し、オープンソースの考え方は、ソースコードを公開して有用な技術を共有することで、世界中の誰もが自由にソフトウェアの開発に参加することができ、その方がずっと素晴らしいソフトウェアが生まれるはずだという思想に基づいている。オープンソースで開発されたソフトウェアには、UNIX系OSのLinuxや、世界で最も普及しているWebサーバであるApacheなどがある。
[Yahoo!Japan コンピュータ用語辞典]
それでは、建築設計の世界ではどうか?
無償で設計図を公開すれば建築技術は革新的に向上する可能性がある。
需要の多い住宅の設計に限っていえば、例えば100ほどの基本プランがオープンソース化されたとする。
消費者(設計者)は取得希望する床面積を指定し10ほどのプランを無償で手に入れる。その中から好みの間取りのプランを1つ選択して発注する。
消費者(設計者)はそれぞれ希望によりプランの改善をする。事後実施予算と、瑕疵、クレームなどのフィードバックをする。
設計者は必要であればより詳細な設計図書を作成しフィードバックすることにより基本プランの充実をはかる。
この繰り返しにより100の基本プランは、改善された緻密な設計図書と実施に基づいた正確な予算書を含む契約図書となる。
なにもこれは新しいことではなくて、ハウジングメーカなどは標準設計等を活用しより細かいサービスが出来るよう努力している。
ここで、私が言いたいのは先ほどのコンピュータ用語のオープンソース(open source)である。かつてIBMがそうであったように、国内で言えばNECがそうであったように、いずれ企業も動く。
もちろんオープンソース化を先導しなければいけないのはオープンソース化されることにより最も利益を享受する我々零細事務所である。
ただし、諸刃の剣で今後設計のオープンソース化が進むと間違いなく設計者の数は今ほどいらなくなる。
役立つ情報のページに家のプランをオンラインで購入できる海外サイトを紹介している。これはオープンソースではないが、消費者はこういった情報を積極的に活用すればよい。
国内でもこれほどのデータを公開する進んだ(変った)企業が現れることを切に希望する。
そのうちきっと私の仕事は無くなるが、消費者はよりよい設計をより安価に入手できるようになるし、建築技術も革新的に向上するにちがいない。
2001.07.13
◇ コラム(column)を書くぞ
建築ネタのコラムを書こうなんて無謀なことは、これっぽっちも思っちゃいません。1年に1ページの掲載に終わってしまうのがオチですから。
ここは幅広く時事ネタということでいきましょう。
このページがヒットして新聞社からコラム執筆依頼が殺到、将来は印税生活で「うほうほ」なんてことを目指している訳ではありませんから、気楽に構えて不定期に掲載します。
じゃ、最初ということで『コラム』とは何ぞ?というネタ
column [名]
- 《建》円柱,柱.
Architecture. A supporting pillar consisting of a base, a cylindrical shaft, and a capital.
- 円柱状のもの.
Something resembling an architectural pillar in form or function: a column of mercury in a thermometer.
- (新聞,書籍の縦線で仕切られた)1段.
Printing. One of two or more vertical sections of typed lines lying side by side on a page and separated by a rule or a blank space.
- (新聞の)欄,コラム.
A feature article that appears regularly in a publication, such as a newspaper.
下段はDictionary.comでの検索結果
一般にコラムの意味するところは 4.(新聞の)欄,コラム.ですね。
古代エジプトやローマで絵文字を段状に刻んだ円柱を見かけます。これがコラムの語源なんでしょうか。
コラムといえば、朝日新聞の「天声人語」日経新聞の「社説・春秋」毎日新聞の「毎日の視点」が思い浮かびます。それぞれ新聞の顔とも言える社説ですね。
それじゃ我社も顔となるべくコラムに名前を付けましょう「天声春秋の視点」....あーダメだめ なんて発想が貧困なんだ
やっぱりただの「コラム」でいいや。
2001.07.12
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