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コラム (2001.11)

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 ■ INDEX (目次)
 日本の競争力2001.11.14
 地震に対する建築物の耐力2001.10.31
 あららホームサーバ2001.10.06
 こだわり2001.09.01
 質実剛健2001.08.08
 情報ソース2001.07.25
 オープンソース(open source)2001.07.13
 住宅寿命指数2001.11.04
 サーバの引越し2001.10.16
 業界再編2001.09.11
 業界の取組み2001.08.17
 第三セクター2001.07.27
 建築士のステータス2001.07.16
 コラム(column)を書くぞ2001.07.12
 

日本の競争力

国際社会の中で日本の競争力は衰退している
IMD World Competitiveness Yearbook (IMD 世界競争力調査)
WEF Overall Competitiveness Rankings (世界経済フォーラム 国際競争力調査)
などを見れば明らかだ。

原因は、潜在的にもつ競争力の資源が乏しいからだ。


潜在的競争力 −生産コスト− [日本人の賃金は高い]

各国の平均賃金(非農林漁業)
 平均賃金為替レート(11/14)平均賃金(円)/月
日 本299,100円/月1299,100円/月
アメリカ12.78ドル/時間121.57279,659円/月
フランス54.46フラン/時間107.21/6.55957160,217円/月
中 国623.25元/月14.689,149円/月

(平均賃金統計は1998年総務省データ)
*アメリカ,フランスについては1時間あたりの賃金に180時間を掛けて一月あたりの平均賃金に換算した

各国の人口、面積(参考)
 人口(1,000人)面積(km2)人口密度
日 本125,638377,847337
アメリカ267,9019,363,52029
フランス58,607551,500106
中 国1,243,7389,596,961130

(人口統計は1997年総務省データ)


潜在的競争力 −天然資源− [日本はエネルギー資源が乏しい]

原油、天然ガス、ウランなどの鉱業生産量は、国内産出がほぼ0で大部分を輸入に頼っている。その他、金属、木材、パルプ、についても同様であり、食品にあっても周知の通り 米以外の多くの品目が輸入に頼っているのが現状だ。


潜在的にもつ競争力の資源面では日本の有利な所は皆目無い


ところが、依然 日本は貿易黒字大国である。競争力の劣った日本が何故これだけの貿易黒字をだしているのか?

貿易輸入、輸出額
 輸 出輸 入貿易黒字
日 本391,112290,104101,008
アメリカ680,434944,350-263,916
フランス300,571286,03514,536
中 国183,809140,23643,573

(単位 100万米ドル)1999年総務省データ

日本には、世界有数の競争力をもつ企業が存在する。競争力を保つ高い水準の技術を保有しているからこそ世界第2位の経済力を持つに至ったのだ。

しかし、その一方で 競争力の無い国内産業を保護しているが故に、こういった現象が起こる。そう言ってしまえば反論もあろうが、実際に廻りを見ていただきたい。経営に失敗したのに退場しないで公的資金を注入され延命している企業がなんと多いことか。資本主義とは名ばかりだ。
政府は「デフレ」「デフレ」と騒ぐが、デフレは単純に需要に対して供給が多い現象なのだから、不良な供給は止めるべし。それを無理やり延命さすから供給がいつまでも溢れているのだ。

話を戻して、国益と市場開放することによる受益者数を検討すると、いつまでも競争力の無い産業を保護している訳にはいかない


日本が経済成長しないまでも、現状を維持する為には、つい先だってWTOに加盟した中国との緊密な経済協力が必要だ。中国元の為替レートの引上げ措置など一時的には必要であろうが、アジアとして一つの経済圏を確立しないことには、日本の衰退はますます加速する。

敗戦で疲弊した日本が世界一の競争力を持つまでに50年の年月を要した。中国は今後 25年の年月を経ずして世界一、二の経済大国になるだろう。今、ブッシュにヨイショして全く不要な軍備費を計上するぐらいなら、中国の貧しい山村に電気をひきに行ったほうが、将来 日本の為になる。
今後、一層 経済のグローバル化が進むのは間違いないのだから、アジア諸国と友好な関係を築き、それぞれの国が役割を担い、得意分野の競争力を高め、互いに援助し、相互発展してゆくしか もう道は残っていないのではないのか

2001.11.14

 

住宅寿命指数

総務省 統計局統計センターの統計は面白い

統計センター/世界の統計/社会・国民生活/住宅-建築

上記統計数値より単年度住宅新築数と人口の比率を計算してみた

人口と住宅新築数の比率
 日本アメリカフランス
人口1億2.5千万人2億5千万5.6千万人
住宅新築数113万戸147万戸33万戸
人口/新築数110170169

この統計値を見ると明らかに日本の住宅は人口に対し新築数が多い。

このままだと実感がないので係数 0.25を掛けてみる(根拠の無い係数)
あらら不思議、住宅の耐用(需要)年数に近い数字になるじゃありませんか!
名付けて住宅寿命指数   住宅寿命指数=人口/新築数×住宅寿命係数 0.25

住宅寿命指数
 日本アメリカフランス
人口1億2.5千万人2億5千万5.6千万人
住宅新築数113万戸147万戸33万戸
人口/新築数110170169
住宅寿命指数27.542.542.2

[数値の検証]
新築数/人口は単年度の1人あたりの住宅新築数
では 1人は何年で 1戸の住宅を新築するか 1÷新築数/人口=人口/新築数
人口/新築数の数値は 1人が住宅新築に要する年数ということになる。
なにも 1人で家を建てる必要は無いのであって、夫婦及び子供を構成員とした世帯数に関係がある。また、賃貸住宅を除く為に、持ち家率も考慮してみると
{日本の世帯数 5,024万世帯×持ち家率 60%}÷住宅新築数 113万戸 = 26.6
この数値が住宅寿命指数と極めて近いことが解る

このように統計値をイジルと日本の住宅の寿命が短いことが解る


では、何故 日本の住宅は諸外国に比べ寿命が短いのか?

要因の羅列

  1. 日本は経済大国で裕福だ
  2. 日本の長い梅雨が住宅の寿命を短くする
  3. 諸外国では木造以外の住宅比率が多い
  4. スクラップアンドビルトを前提とした商行為が一般化している
  5. 日本の住居は規模が小さいために取り壊しが容易である
  6. 日本人は自分で家のメンテナンスをしない

住宅の潜在的耐用年数は充分に持合せていても、要求される性能に変化が起こり建替えに発展する例も多い

親 2人、子供 2人の一般的な核家族のライフスタイルを例にすると

  1. 結婚  3LDK
  2. 子供が2人生まれた  3LDK
  3. 子供が大きくなりそれぞれに専用の居室を与える  4LDK
  4. 子供が別の住居を構えて夫婦2人に戻る  3LDK

客間や書斎を必要としない場合は全て 3LDKで賄うことは可能なのだが、持ち家世帯率の急上昇するのが 35歳以上なことをみるとポイント 3は大きな要因であろう。また、設備的老朽化(台所や便所、風呂)を機に建替える需要も多い。
現代では、高齢化需要である住宅のバリアフリー化も建替え要因に加わる。
子供の就学および就労が、親の住居から遠距離である場合は別に住居が必要となる。その後、子供は結婚し、通勤など考慮し利便性の高いところに新たに住居を購入する。
このサイクルが住宅寿命指数と一致する約 27.5年というわけだ。

日本では住宅寿命指数は子供が生まれるサイクルに深い関係があることが解る。


住宅が潜在的に持つ耐用年数に比べ、需要年数が短い。いわゆるスクラップアンドビルトから脱却するためには、中古住宅を如何に流通させるかが鍵となる。

業界は、良い中古住宅をより安心して購入できる流通システムを構築する
消費者は、性能保証制度や中古住宅保証制度などを活用し、自己の財産である住宅の品質と価値を高める
それぞれに安心できる書類を残すことが大切だ。

2001.11.04

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