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コラム (2002.03)

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 ■ INDEX (目次)
 伝建地区「今井町」のまちなみ2002.03.27
 排他的共倒主義2002.02.26
 「格付け」 (Ratings Lists)2002.01.23
 こんなときこそ道路をつくれ2002.01.04
 履行保証制度2001.12.14
 日本の競争力2001.11.14
 地震に対する建築物の耐力2001.10.31
 あららホームサーバ2001.10.06
 こだわり2001.09.01
 質実剛健2001.08.08
 情報ソース2001.07.25
 オープンソース(open source)2001.07.13
 屋外広告物規制2002.03.13
 国土交通省コメントを翻訳2002.02.05
 ん? 法的整理2002.01.14
 迷走する日本経済2001.12.25
 検索サイトの活用法2001.12.09
 住宅寿命指数2001.11.04
 サーバの引越し2001.10.16
 業界再編2001.09.11
 業界の取組み2001.08.17
 第三セクター2001.07.27
 建築士のステータス2001.07.16
 コラム(column)を書くぞ2001.07.12
 

重要伝統的建造物群保存地区 「今井町」のまちなみ (奈良県橿原市)

昭和50年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群の制度が発足し,城下町,宿場町,門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られるようになった。市町村は,伝統的建造物群保存地区を定め,国はその中から価値の高いものを重要伝統的建造物群保存地区として選定し,市町村の保存事業への財政的援助や必要な指導または助言をおこなう。 現在、全国で57地区が重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。 [文化庁(文化財の保護)]

先日、その今井町に見学に行ってきたので以下は備忘録を兼ねて記しておく。

今井町は室町時代後期に一向宗(浄土真宗)称念寺の寺内町として町を形成してゆく。1570年 大坂石山本願寺が織田信長軍に攻撃を開始した際 今井では今井兵部(いまいひょうぶ)のもと町を武装化して参戦した。1575年に織田信長から赦免され、その後武装を解除して在郷町として発展することになる。 江戸時代には天領として自治特権も与えられ陸路の商業都市として大いに栄えた。規模は東西に約600m 南北に約310m 周囲に環濠をめぐらせた今井町は、江戸初期には1000軒,4000人の当時としては大規模な都市であった。
1993年に今井町は17.4haが重要伝統的建造物群保存地区に指定された。地区内には惣年寄筆頭の今西家や材木商豊田家をはじめ8棟の重要文化財がある。

景観の特徴は、道路と平行に軒先を揃える平入りのつし二階建て町屋形式をとること。京都の町屋とは違い一軒の間口が比較的広い。正面から見ると「しもみせ」「戸口(玄関,土間)」「みせの間」「みせ奥」と並び6間どりの独立建てが一般的だ。家紋を左右に配したり虫籠窓にも意匠を凝らす漆喰壁、太さ組み方の異なる格子、本瓦葺きの屋根のコントラストが美しい。すばらしい技術を持った職人が技巧を凝らしたその設えは当時の繁栄を偲ばせる。

通りは幅員4.0mは無く、2.7〜3.6m程度しかない。これについては法44条道路内の建築制限の項を適用除外している。その他に採光や道路斜線、建ぺい率などについても適用除外項目を指定している。
道路幅員が狭い為に、まず地域防災が心配となる。これについては、地域に4箇所の防災拠点となるコミュニティ広場を設け、地下には防火水槽、RC造の防災小屋には初期消火設備、毛布や乾パン飲料水などを備蓄している。このコミュニティ広場は市民の憩いの場として利用されており、見学時にも複数の老人が集っていたり、子どもが水遊びしたりしていた。
構造的には壁量が足らなかったり継ぎ手の補助金物使用が困難であったりする。柱や台敷居、差し鴨居の断面積が大きいので充分に耐力は持ち合わせているようではあるが、数値的に検証するには時間と費用がかかる。

ここに限らず、古くからの家に住まいの方はその住みにくさを力説される。それはそうだ、冬は隙間風が吹くし、暗い畳の部屋は嫌で、フローリングとベッドを所望される。我々は勿体無いと思いながらもバッサリと建替えをすることも往々にしてある。住みにくい町屋をいかに快適に改造するかを提案した「今井まちづくりセンター」は、老朽家屋に住みながらにして文化伝統を残してゆく為のひとつの提案として興味深い。
今井町は今も人々が住まう町であることがすばらしい。奈良井宿や妻籠宿など観光客にあふれ休日ともなると洗濯物を外に干すこともままならない他の伝建地区とはあまりに違う。これからも実際に住まう人の生活を大切にしながら町としてその美しさと文化を後世に残して頂きたい。

参考リンク: 今井町の町並み(橿原市)


2002.03.27

 

屋外広告物規制による都市景観の変化

難しい題名をつけてはみたものの、内容はいたって薄い

先日、京都市で店舗増築の計画があり、屋外広告物についての関係課と事前協議をした。
あまりに強烈な指導なので、腰が引けて帰ってきた。今回はそれをネタに軽いのを


京都市では屋外広告物に対し屋外広告物等に関する条例という規制がある。その施行規則のなかで「意匠がけばけばしいものでないこと」という一文があるのだけれど これがクセモノ。
けばけばしい」に則ると、看板の地の色が、赤べたや青べたなどはまず許可されない。白地を基本とするとのこと。

「道路を走っていると、あちらこちらにあるじゃないですか?赤や、青、黄色の看板!」とちょっと噛みついてみるも「そうなんですけれど、地道ではありますが行政指導させて頂いているのです」とのこと。
そのようなやり取りのあとスゴスゴと帰る頃には渋滞にはまる、こんな時は止まるたびに看板を見る。 ......と

あっ! UNIQLOの看板が 白地に赤文字だ!
およっ! ESSOの看板が 白地に赤文字だ! おまけにガソリンスタンドの幕板まで白地に赤文字!

みんなあのテーブル越しに「えっ?何で?」って言いながらも、しぶしぶ 地と文字の色を反転させたのだろうと想像できるだけに面白い。


さてここで、問題
Q1.赤地に黄色のM、平日半額っていったら(今は違うけれど)どこ?
Q2.CMでおなじみ姫の黄色い看板といったらどこ?
Q3.レッドステージ、ブルーステージでおなじみの自動車会社はどこ?


これら以外にも、その色彩が会社や商品をイメージさせるものは多いですよ
交通渋滞にはまったときには、安全運転を心がけながら じっくりとご覧ください。




ちょっと追記
この条例の是非を問うつもりはありません。都市景観は住民と行政が共になって考えてゆくべき課題なので、すぐに答えがでるとも思えません。 ただ、看板や景観を見ていただきたい。プラプラ街をあるいているとき、信号で止まったとき、たまにじっくり見ると これは結構面白い。









[答え] 行政指導に従っていない、もしくは改善検討中なのだろう大企業

2002.03.13

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